分野別ソリューション

電池材料の表面評価(大気中光電子収量分光装置 )

大気中光電子収量分光装置 ACシリーズ(理研計器)

AC-2S

AC-2S

大気中光電子収量分光法(Photoemission Yield Spectroscopy in Air:PYSA)は、理化学研究所にて宇田応之博士により発明された大気中で光電子を計数できるオープンカウンターを用いた、仕事関数・イオン化ポテンシャルを測定可能な光電子分光法です。
理研計器が世界で初めて「ACシリーズ」として1986年に製造・販売を開始した分析装置です。

大気中で簡単に仕事関数・イオン化ポテンシャルの測定が可能(測定時間:約5分※)
真空状態にする必要がないため、サンプルの入れ替えも簡単にでき、短時間で測定できます。
※測定条件:測定エネルギー走査範囲4.2eV~6.2eV、ステップ0.1eV、計数時間5s/ステップの場合。

再現性の高い測定が可能
強度の弱い紫外線を照射し、微量の光電子放出を検出する原理のため、材料へのダメージが少なく再現性の高い測定が可能です。

測定事例1:材料の選定(スクリーニング)
 リチウムイオン電池正極材料の耐久性評価

測定事例1:材料の選定(スクリーニング) リチウムイオン電池正極材料の耐久性評価

ACシリーズは、イオン化ポテンシャルを測定するという新たな視点から、電極や部品の表面構造や反応メカニズムの解明に貢献し、問題解決と新材料開発を推進します。
リチウムイオン二次電池(LIB)には、その高い動作電圧により正極表面から金属イオンが溶出し、電池容量が低下するという問題がありました。
手嶋・是津グループは正極材料を表面コーティング処理したことで、LIBの耐久性向上に成功しました。ACシリーズを用いた正極材料のイオン化ポテンシャルの測定結果は、Mnの溶出が抑制され容量低下が改善されるメカニズムの解明に使用されています。

[1] D. Kim, S. Uchida, H. Shiiba, N. Zettsu, K. Teshima, Scientific Reports, 8(1), 11771, 2018;

測定事例2:新材料開発の指標
 燃料電池材料の探索

燃料電池のカソード(正極)の白金代替材料の探索には、従来、CV測定が広く利用されていましたが、固体のまま測定できるACシリーズを活用することで効率の良い材料探索が可能となります。

測定事例2:新材料開発の指標 燃料電池材料の探索

電極から材料へ電子が移動すると化学反応が起こります。
以下の内容がACシリーズを使用することで分かります。

A)電極のHOMO<材料のLUMO⇒ 電子は移動しない

B)電極に電圧(小)を印可
  電極のHOMO>材料のLUMO⇒電子が移動(効率の良い例)

C)電極に電圧(大)を印可
  電極のHOMO>材料のLUMO
⇒ 電子が移動(大きな電圧が必要となり効率が悪い例)

イオン化ポテンシャル

燃料電池電極のイオン化ポテンシャルと酸素還元反応電位(EORR)との関係

A. Ishihara, M. Tamura, K. Matsuzawa, S. Mitsushima and K. Ota,
J. Fuel Cell Sci. Technol 8 (3), 031005

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