シリンジフィルターの選び方
3.シリンジフィルターの孔径の選び方
3-1.フィルター孔径の選び方
シリンジフィルターの孔径(pore size)は、サンプル中の粒子をどのレベルまで除去できるかを決める重要な要素です。孔径が大きすぎると微粒子が残り、カラム詰まりや圧力上昇、再現性低下の原因になります。
一方で小さすぎるとろ過が遅くなり、目詰まりや回収率低下につながることがあります。分析法やサンプル性状に合わせて最適な孔径を選ぶことが、安定した分析と装置保護の近道です。

HPLC(粒子径が3~5 μmのカラム)
一般的なHPLCでは、0.45 μm が標準孔径です。粒子除去とろ過スピードのバランスが良く、日常ルーチン分析に広く使用されます。
UHPLC(粒子径が3 μm未満のカラム)
UHPLC や 3 μm未満の微粒子カラムでは、微細粒子が圧力やピーク形状に影響しやすいため、0.2 μmを推奨します。カラムやインジェクターの保護効果が高く、圧力上昇の予防に有効です。
LC/MS
LC/MSでは微量汚染が感度低下や背景ノイズの原因になります。粒子除去の観点からは 0.2 μm が基本です。加えて、低抽出のメンブレン材質を組み合わせることで安定したMS感度が得られます。
3-2.フィルター孔径を推奨する理論的背景
LCカラム内の充填剤粒子の間には移動相が通過する微小な隙間があり、充填剤はランダム充填構造をとるため、この粒子間隙間は粒子径の約0.15~0.3倍の範囲になります。
3 μm粒子の場合、最小隙間は約0.45 μmとなり、これより大きな粒子が侵入すると入口で詰まり、圧力上昇やピーク形状の悪化を招きます。この隙間を保護するため、フィルター孔径は粒子径の1/5~1/3以下が推奨され、3 μmカラムには0.45 μmフィルターが適しています。
3-3. 孔径と圧力の関係
「微粒子除去能力が高いなら、すべて 0.2 μm を使えば良いのでは?」という疑問を持つ方は多くいます。
しかし、実際のろ過操作では 0.2 μm のフィルターは 0.45 μm よりも強い圧力を必要とし、時にはろ過が困難になることがあります。
なぜ 0.2 μm のほうが圧力が高くなるのか
・孔が小さいほど流路抵抗が増える
・通液量が減り流速が低下する
・微細粒子を多く捕捉し、目詰まりしやすい
理論的には、同じ流速でサンプルを処理する場合、0.2 μm は 0.45 μm の約5倍の圧力が必要となります。
実際はメンブレンの構造の違いが影響するため、実測では約2~4倍程度押しにくくなるのが一般的です。



























