技術情報

HPLCの上手な使い方

Ⅱ章-7 溶離液の調製法

溶離液条件の検討

新しいサンプルの分析を行う場合、ある程度HPLCの経験を積んだ方でしたらその経験をもとに上手な条件決定を行えると思いますが、HPLCを始めて使われる方や経験の浅い方は、どのような溶離液を使用すればよいのか悩んでしまうことがあると思います。ここでは、HPLCで最も代表的な逆相分配系において、最適溶離液を決定するための手順をフローチャートにまとめました。あくまでも目安としてですが、条件検討の際の参考にしていただきたいと思います。

対処法

  • 有機溶媒の組成を多くする
  • 水の組成を多くする
  • 緩衡液を使用する(pHの調節
  • イオン対試薬を使用する
  • グラジエント溶出を行う
  • カラムを長くする
  • 充填剤を変更する

溶離液調製のポイント

分析目的にあった溶媒を選択する(Ⅱ-2参照)

サンプルの検出を妨害したり、カラムに無駄な圧力のかかる溶媒の使用はできるだけ避けてください。

水中の有機物に注意をはらう(Ⅱ-3参照)

プレクリーンORGを使用することによって不純物を除去できます。

pH調整は慎重に

サンプルによってはpHのわずかな変動で保持に大きな差がでます。

緩衡液はできるだけ薄い濃度で使用する

濃度の濃い緩衡液は充填剤の劣化につながります。

緩衡試薬の溶解やpH調整は有機溶媒と混合する前に行う

先に有機溶媒と混合してしまうと、試薬が溶けなかったり正確なpH値が得られなかったりします。

溶離液の脱気は充分に行う

脱気が不充分だと、正確な送液ができなかったりサンプルの検出が妨害されたりします。

溶離液条件の検討にはグラジエント装置を使用すると便利です

水100%から有機溶媒100%までグラジエントをかけて分析を行い、目的成分の溶出位置によって有機溶媒組成を判断する目安になります。

以上、HPLCで使用する溶離液について逆相分配系を中心に解説してきましたが、溶離液の選択はHPLC分析を成功させる上で非常に重要な役割を果たします。これを参考に最適溶離液を選択し、満足のいく分析結果が得られることを期待しています。