MonoTrapの上手な使い方
8章 - 1溶媒抽出用MonoTrapと他社製品比較
MonoTrapは溶媒抽出する場合、成分を溶液として回収するので、分析条件の再検討が容易に行えます。
また他社製品の加熱脱離用捕集ツールと比較しても、感度は劣りません。
●MonoTrap DCC18(活性炭有)と他社ファイバータイプの捕集ツールの比較
クチナシにテドラーバッグをかぶせ、バッグの中にDCC18(活性炭有)と他社ファイバータイプの捕集ツールAを入れて、同時に捕集を行いました。3時間の捕集後、DCC18(活性炭有)はジクロロメタン1000 µLで溶媒抽出し、100 µLまで濃縮後、GC/MSへ1 µL導入しました。ファイバータイプAは、加熱脱離でGC/MSへ全量を導入しました。
全量導入しているファイバータイプAと比べ、DCC18(活性炭有)は溶媒抽出により100倍希釈しても、遜色のない感度が得られました。また、インドールにおいては、DCC18(活性炭有)の方が感度良く検出することができました。
(クロマトグラムに記載した成分名は、MSのライブラリーでの検索結果であり、標準試料による同定結果ではありません。)
●MonoTrap DCC18(活性炭有)と他社PDMS捕集剤Bの比較
15 %NaCl水溶液20 mLに標準試料A(4-1参照)を25 µL添加し、DCC18(活性炭有)と他社PDMS捕集剤Bで捕集しました(水溶液中の各成分濃度250 ng/mL)。捕集後、DCC18(活性炭有)はジクロロメタン200 µL、PDMS捕集剤Bはアセトニトリル200 µLで抽出しました。
PDMS捕集剤Bと比べて、LogPが低い成分から高い成分まで、つまり親水性成分から疎水性成分までどの成分においても、DCC18(活性炭有)の方が、回収率が良い結果になりました。他社PDMS捕集剤BはPDMS相が破壊される恐れがあるため、使用できる抽出溶媒はアセトニトリルやメタノールに限定されます。
対してMonoTrapは母材がシリカであるため、抽出力の高いジクロロメタンなどの溶媒で抽出することができます。目的成分によって抽出溶媒を選択することで、高い回収率で測定が可能です。