技術情報

MonoTrapの上手な使い方

6章 - 2加熱脱離

6-2-4.クライオトラップ

加熱によって捕集剤から脱離した成分を、クライオトラップ(冷却濃縮)した後、急速加熱してGCへ導入します。これによりバンドの広がりを抑え、低沸点成分でも保持時間の再現良く、また感度良く検出することができます。クライオトラップの温度を-150 ℃~-100 ℃に設定をして測定を行ってください。

●クライオトラップの温度

メチルピラジン、カンフル、バニリンの3成分各10 µg/mLの試料1 µLをRGC18 TD(グラファイトカーボン有)に添加しました。これを加熱脱離し、冷却温度-200 ℃~50 ℃の条件で濃縮してGC/MSへ導入しました。
高沸点成分のバニリン(沸点285 ℃)は冷却温度0 ℃でも濃縮が可能で、充分なピーク面積値が得られています。沸点がバニリンよりも低いメチルピラジン、カンフルは、より低温での冷却濃縮が必要となります。

注1)MonoTrapに水分が多量に残留していると、冷却ライン中で水が凍結し、閉塞が生じる恐れがあります。捕集後MonoTrapの表面の水分をしっかり取り除いてから加熱脱離装置に導入することで、閉塞を防ぐことができます。
特に液体試料と共に振とうして捕集した場合は、加熱脱離装置に導入する前に清浄な不活性ガスを吹き付けて乾燥することをお薦めします。

注2)上記のデータは、ジーエルサイエンス(株)製加熱脱離装置T-DexⅡを使用した場合です。
加熱脱離装置の機種により、最適な条件は異なりますので、お手持ちの装置で最適条件を検討してください。