MonoTrapの上手な使い方
1章 - 3MonoTrapにおける試料捕集の原理
1-3-2.液体試料の捕集
密閉容器中のヘッドスペース(気相)で捕集を行う場合、液体試料中の成分は、分配係数に則した濃度になるように溶質(液相)から気相へと移動します。気相中の成分はMonoTrapのPDMS相やC18基、吸着剤に捕集されます。捕集により気相中の成分の濃度が低くなると、平衡状態を保つため液体試料中の成分は気相に移動し、MonoTrapへ捕集が進みます。
溶質(液相)と気相間の成分の移動は分配係数に依存するため、通常の溶媒抽出や固相抽出と同様に、塩析やpH調整などの処理により、捕集時間の短縮や回収率の向上が図れます(5-2-3、5-2-4参照)。
MonoTrapは、シリカ表面のC18基やエンドキャップ処理により疎水性が大きいため、撥水性を持ち水に浮きます。水溶媒の試料の場合は、浮かべて捕集したり、バイアルを振とうさせて捕集することも可能です。この場合、上記のような成分の移動に加え、溶質(液相)から成分が直接MonoTrapへ移動し、捕集されます。このため親水性の成分も効率良く捕集することができます。
また、MonoTrap表面全体に疎水性があるため、水はMonoTrap内部まで浸透することはありません。このため捕集後、MonoTrapからの水分除去は非常に簡単です。
注)試料の溶媒が、疎水性の液体や有機溶媒の場合は、MonoTrap内部に溶媒が浸透し試料の中に沈んでしまうため、試料の中に直接MonoTrapを入れる捕集方法は適しません。