技術情報

MonoTrapの上手な使い方

5章 - 2水系試料の捕集

水系試料を捕集する場合、捕集効率や脱離効率は、各成分の特性やマトリックスの影響などに大きく依存します。目的成分の回収率を向上させるためには、塩析やpH調整することをお薦めします。

5-2-1.水系試料の捕集方法

MonoTrapで水系試料を捕集する場合、ヘッドスペース(HS)法、振とう法、浮かべるなどの様々な方法で捕集することができます。振とう法は、試料の溶質(液相)、気相、MonoTrapが攪拌され、この3相間で成分の移動が促進されます。このため振とう法が最も効率良く捕集することができます。

●捕集方法の比較

15 %NaCl水溶液40 mLに標準試料A(4-1参照)を25 µL添加し、DCC18(活性炭有)を用いてHS法、振とう法、浮かべる、の3つの方法で、捕集を行いました(水溶液中の各成分濃度125 ng/mL)。
どの成分においても、振とう法で捕集した場合が最も回収率が高くなりました。

●しょう油香気成分分析におけるヘッドスペース法と振とう法の比較

ヘッドスペース法(MonoTrap RGC18TDをしょう油と接触しないように容器のヘッドスペース部にセットし、60℃のオーブンで揮発性成分を捕集する方法)と振とう法(しょう油にMonoTrap RGC18 TDを入れ、60 ℃の恒温振とう器で振とうしながら揮発性成分を捕集する方法)の比較を行いました。捕集した香気成分は、HandyTD TD265にて加熱脱離によりGC/MSへ導入しました。
浸漬振とう法は、ヘッドスペース法と比べ、ほぼ全成分の感度が向上しました。また、ヘッドスペース法では検出されなかったバニリン酸エチル(LogPo/w : 2.741)のような高沸点成分(b.p. : 292 ℃)を検出することができました。