MonoTrapの上手な使い方
5章 - 2水系試料の捕集
5-2-2.水系試料の捕集時間
ヘッドスペース法で捕集する場合、試料の溶質(液相)とヘッドスペース(気相)の2相間の分配係数に依存して成分の気化が起こり、その気相中の成分をMonoTrapで捕集します。捕集により気相中の成分濃度が低くなり濃度平衡が崩れると、成分は溶質から気相へ移動します。成分の濃度が平衡に達するまで時間が掛かるため、高い回収率を得るには、長時間の捕集が必要です。
振とう法の場合は、気相からの捕集に加え、試料の溶質(液相)から直接MonoTrapへ移動するため、30分の捕集で十分な回収率が得られます。ただし酸性成分や塩基性成分の捕集は、60分程度の捕集が必要です。
●捕集時間の比較
15 %NaCl水溶液20 mLに標準試料A (4-1参照)を25 μL添加し、DCC18(活性炭有)を用いて、捕集時間を変更して、ヘッドスペース法と振とう法で捕集しました(水溶液中の各成分濃度250 ng/mL)。
ヘッドスペース法の場合、ほとんどの成分において、捕集時間を180分間と長くしても、まだ回収率が上昇する傾向がみられました。
振とう法の場合は、30分間の捕集で、多くの成分において回収率が最大となりました。酸性成分のオクタン酸は、30分の捕集では回収率が低く、60分の捕集で良好な回収率が得られました。