MonoTrapの上手な使い方
5章 - 3固体試料の場合
固体試料中の香気成分の捕集には、粉砕が効果的です。粉砕操作により、得られる固体粒子を小さくすればするほど、表面積が増大し、固体試料からの香気成分の放散量が増大します。つまり、固体試料由来のヘッドスペース香気成分を高感度分析したい場合は、より微粉体に粉砕することが肝要となります。一方、固体試料の粉砕過程では、摩擦熱の発生、空気中酸素による酸化反応の影響が顕著となるので、液体窒素などで凍結させ粉砕する手法が用いられます。
●粉砕による香気成分分析の高感度化
リンゴ味飴の香気成分分析において、粉砕した飴とそのままの飴の比較を行いました。捕集した香気成分は、HandyTD TD265にて加熱脱離によりGC/MSへ導入しました。サンプルを破砕したほうが揮発性成分の感度が大幅に向上しました。
リンゴ様香のマロン酸ジエチル(b.p.:199 ℃)、食品添加剤のトリアセチン(b.p.:258 ℃)、甘い香りのデカノラウトン(b.p.:281 ℃)、ダマセノン(b.p.:275 ℃)のような高沸点成分などが検出されています。